ニコニコで配信が始まり、変態すりすりに爆笑していますこんばんは。
外伝で超テンション上がりまくりだよ!!
あまりにも更新がアレなので、みくしに放置してた二次創作でも上げます。
よりにもよってゲーム版のネタバレを!!
辺境サイトなのをいいことに!!
上げてみる!!
ゲームクリア前提。過去編の数年後イメージ。
プィル×あの子。×というより+な気もしますが。
落ちはありません。
本編中のタリエポ話も1本あったはずなんだが、どっか行った!!
寒い。冷たい。暗い。
さっきまで聞こえていた心臓の音が、いつの間にか止まっていた。動かなくなった体に、耳を押し付ける。
うめく声も、苦しむ声も、もう聞こえない。
あたしを抱きしめていた細い腕に、力が入っていない。温かかったそれが、今はもう、冷えきっている。
たくさんの人が重なって、あたしたちをまもってくれていた。だけど、いちばん小さくて弱いあたしを抱えてくれていた、あたしよりちょっとだけおおきい人も、ついに動かなくなった。
暗い。顔が見えない。
だけど、その人からは苦しそうな息がもう聞こえないし、ふるえてもいない。
『ああ、もう苦しくないんだね。よかった。』
その時はまだ「言葉」というを知らなかったあたしは、多分そんな意味のことを、漠然と思っていた。
喉が痛い。寒い。苦しい。
大丈夫、きっともう少しで、あたしもおなじところにいける。
痛いのも、苦しいのも、あともうちょっとで終わる。
もうちょっとだけ。ちょっとだけ。
体をちぢめて、あったかいのを逃がさないようにする。目を閉じても開けても、まっくらだ。だったら、もう、目は開けずにいよう。
ふいに、指先に冷たい空気が触れた。
まどろみの中で、大きなあたたかいものが、あたしの指に触れたのを感じた。
ペンをインク壺に戻し、プィルは小さく伸びをした。長時間書類と向き合っていたせいだろう。首筋がわずかに痛い。
腕を軽く回しながら時計を見る。時刻はとうに夜半を回っていた。想像以上に時間がたってしまっている。なるほど、肩がこるはずだ。
首筋を揉み、首をまわすと骨が鳴った。
『容姿に似合わない行動はよせ。爺むさいぞ、プィル』
呆れ半分の友の声が、すぐ耳元で聞こえるような気がする。
――君が自分の仕事まで私に押し付けるから、私は今、君の言う『爺むさい』動作をする羽目に陥っているんだよ。
視線を机に落としたまま、プィルは頭の中でアロウンに返事をした。
この城はいけないと思うのは、こんな時だ。ここは、どこにでも、何にでも、あの友人の気配が濃く染み付いている。
何を見ても、何をしていても、もうここにはいない彼の姿を無意識に探してしまう。
顔を上げる前に、強く目を閉じる。そう、いつもこういう時は気がつけばすぐそこに、黒い衣をまとった彼の姿があった。根を詰めすぎるといつの間にか横にいて、こちらを茶化してからかって、俺は眠いからもう寝ると言い置いて出て行く――。
ちょっかいをかけにきただけに見えて、彼が来た後は肩の荷がいくらか軽くなったような気がしたものだ。
もしかしたら、今もアロウンは、自室の寝台でぐうたらと眠っているのではないだろうか。たたき起こしに行けば、先に気配をかぎつけて逃げているか、家付き妖精の作った夜食を手にどこかで月見でもしているか――。
息を細く吐いて、視線をあげる。
当たり前のことだと分かってはいたが、やはりそこには誰の姿もない。
目頭に熱いものがこみ上げてきて、プィルはまぶたを押さえた。しずくがこぼれ落ちないように顔を上にあげれば、鼻の奥がツンと痛くなる。
彼が眠りについてから、既に片手では足りないほどの年月が過ぎた。けれど思い出は色あせるばかりか、彼の胸の中で、確かな静かさと重さを増していく。
嘆きはもう、ない。
半身を裂かれたような喪失感も、彼を常にさいなむことはなくなった。
国を立ち上げるという大仕事の忙しさは、彼に悲しみにひたる時間を与えはしなかったし、実際それに救われた部分もある。
それでも、ふとした折に――そう、たとえば今のように気を緩めた瞬間に、彼の気配や思い出は、不意をついてプィルの傍に現れる。
熾火のような静かな悲しみと寂しさを、無理に追い払おうとは思わなかった。
あの日々を、仲間達を次々と失い、今まで築き上げてきたものを無残に破壊し尽くされながら、それでも自らの足で立つために戦ってきた日々を忘れることなど、できようはずもない。
悲しいなら、その悲しさを受け入れるしかないのだ――。
椅子に深く腰掛け、瞳を閉じる。眠気はやってこなかったが、深く呼吸をするといくらか気持ちが落ち着いた。
外は雪だ。風が出てきたのだろう。吹き荒れる音は高く、不気味なうなり声のようにも聞こえた。
もっとも、この部屋に隙間風が吹き込んでくることなどないし、暖炉ではあかあかと薪が燃えている。
外の悪天候とプィルは、今のところ無縁だ。とりとめもなく考えたところで、プィルはふとあることに思い当たった。
「……しまった」
いくらか慌てて椅子を引き、立ち上がる。
控えめなノックの音がしたのは、そのときだった。
立ち上がりかけた半端な中腰のままで、プィルは固まった。……どうやら間に合わなかったらしい。表情を緩めて、扉に声をかける。
「開いているよ」
返事を待ちかねたかのように、扉が静かに開かれる。隙間から、丸い大きな二つの瞳が、こちらをうかがっていた。穏やかに微笑みかけると、扉の奥に立っていた少女の顔がいくらか明るくなった。
「眠れないのかい?」
彼女を迎えるなら、どの道この机からは一度離れないといけない。
目を通し終わっていない紙の束を数枚選んで、プィルは暖炉の傍にある長椅子を視線で示す。
プィルが長椅子に腰掛けるのを見届けると、プリムラは小走りで部屋の中に入ってきて、彼の隣で丸くなった。
仮眠を取るときに使っている毛布をかけてやる。しばらくもぞもぞと体勢を動かし、ちょうどいい位置を見つけると、彼女は仔猫のように目を細めた。
ひとけがない部屋の中で、自分のものより高い体温はプィルの気持ちも落ち着かせた。まどろみにも似た心地よい空気の中で、プィルの肩からも力が抜ける。
紙の上で暖炉の光が踊っている。静かに紙を繰っていると、つぶやきのような声がプリムラの口から転がり出た。
「……手、握ってもいい?」
思わず手を止めて、彼女の顔を見下ろす。その『お願い』が来たのは随分久しぶりだ。
よく見れば目元が赤い。
――今日はかなりひどかったらしい。
右手だけで書類を持ち直し、左手を彼女の頬に落とす。
細い指が感触を噛み締めるように、彼のそれを包んだ。
アロウンがいたときは、これは彼の役割だった。
吹雪の夜は、プリムラは大抵悪夢にうなされるのだ。
同じ夢を繰り返し見てしまうらしいと、何かの折にアロウンが言っていた。
彼女の最初の『仲間』――弱いものをかばい、死んでいった人間達の、記憶。
それを話した時のアロウンもまた、傷を負った時のような顔をしていた。だからよく覚えている。
出会ったばかりのころは、一人で眠るのも嫌がっていた。
大抵はアロウンの寝床にもぐりこむか、彼が珍しくプィルと議論を交わしているときは、二人がいる部屋の隅に毛布を持ち込んで丸まるかして眠っていたように思う。
昼間はきらきらと明るい顔で、まるで生まれて初めて春を迎えた大地を目にした子犬のようにあちこちを走り回っていた。だから余計に、夜に見せる不安げな顔が、彼女の傷の深さを物語っているように思えた。
そのことを、プィルと同じように――いや、あるいはそれ以上に感じていたのだろう。ガキと共寝をする趣味はないとぼやきながら、彼女が寝付くまで髪を撫でてやっていたアロウンの姿は、世話焼きな父親以外のなにものでもなかった。
だが、そう時を置かない間に、アロウンもプィルも城を空ける回数が増えた。
最初はオガムや、彼もいなければ家付き妖精たちの部屋にもぐりこんでいたようだが――プリムラも徐々に一人で眠れるようになっていった。時間は傷をふさぐ事はなくても、それを確実に薄めてはいくのだ。
ただ、そうなっても、吹雪の夜だけは、事情が少し違っていた。
城をあけているか、本当に外せない用事がない限り、吹雪の夜には、アロウンは必ずプリムラの部屋をのぞいていた。彼女が悪夢にうなされていないか確認し、うなされているようなら無理にでもプリムラを起こし、寝ぼけ眼の彼女を抱えて執務室で執務をしているプィルの所に来るか、そのままプリムラの横で一緒に眠ってしまっていたのだ。
その時だけは嫌そうな顔はせず、ただ、慈愛に満ちた――それでいて、痛みをこらえるような表情を浮かべていた。まるで彼女の傷の責任が、全て自分にあるとでも言うかのような。
アロウンがいなくなった直後も、プリムラはやはり毎晩プィルの所に来て、大抵は今日のように、長椅子で眠っていた。珍しくプィルが寝台で眠れる日には、彼の寝台にもぐりこんできたものだ。
アロウンが無言で帰城してから、一番最初に明るい笑顔を見せるようになったのがプリムラだった。勝利を得たにも関わらず、どこか沈みがちだったアヴァロンの空気を、明るく活気あるものに変えるのに、それは大きな力となった。
誰もいないところで、自分の意思の及ばない眠りの中で、プリムラが毎晩涙を流していたことを知る者は、そう多くはないはずだ。
痛々しかった。同時にこの小さな、唯一の友が慈しんだ忘れ形見が、平凡でささやかな幸せを送れるように守っていかなくては、と強く思った。
その思いは今も変わっていない。
「……やっぱり、違うね」
小さなつぶやきが聞こえる。静かにプリムラの方に視線を落とすと、彼女と目が合った。プリムラは上目遣いにこちらを見て、プィルの手を真上にかざした。
「大きいのはおんなじ。だけど、やっぱり違う」
誰の手と比べられているのか。尋ねなくても明白だった。続きを促すように、プリムラの指を握る。
「申し訳ない、と言うべきかな」
「ううん。プィルはプィル、アロウンはアロウンだもの。プィルがアロウンのかわりだなんて思ってない。プィルの手もあったかくて大好きだよ。……ただ、今日はちがうところまで夢に見ちゃって」
「ちがうところ?」
「うん。冷たくなった……多分、お兄ちゃん、だったんだと思う。私より少し大きいひとのむこうから、あったかくて大きい何かが、私の手をつかむの。それが、アロウンの手で……」
声が詰まる。プリムラの指がプィルの指から離れ、細い両腕が顔を覆った。
「すごくあったかくて、感触まではっきり思い出せて……。ああ、夢だって、夢の中から、いつもみたいにアロウンが助けに来てくれたんだって思ったの。だけど、目を開けたら、誰もいなくて……」
小さくしゃくりあげ、プリムラは目尻に浮かんだ涙を腕でぬぐった。
それで気持ちの踏ん切りをつけたのだろう。静かに彼女を見守っている妖精王に向かって照れたように笑うと、毛布を目の下まで引き上げる。
「オガムには、もうプィルのところに押しかけちゃ駄目って言われたの。だから、今日のことは内緒にしてね」
「オガム殿が?」
プィルはさかんにまばたきを繰り返した。今のところ、自分にはプリムラの来訪を拒む理由はない。今でもこの子はこうして悲しみに苛まれるのだ。同じ痛みを知るものとして、悲しみを分かち合うのになんのためらいがあるだろう。
プィルは苦笑して、彼女の柔らかい髪を梳いてやった。安心できるようにという願いを込めて、頬を手のひらで包む。
「どういう意図でオガム殿がそんな事を言い出したのかは分からないが、私に君の来訪を拒む理由はないよ」
「ほんと? よかったぁ……」
プリムラが、心の底から安堵したように息を吐いた。まぶたを半ばまでおろし、とろんとした瞳のままで、添えられた手に頬をすりよせる。
「安心して眠るといい。ここにはプリムラの眠りを脅かすものは何もない。もしまた夢を見たら――そうだな、アロウンにはなれないが、少なくとも私は、ずっとここにいるから」
「……うん」
こたえる声は、すでに半ば以上夢の国へと旅立っているようだった。
やがて聞こえ始めた規則正しい寝息を確認し、プィルは再び文字の上に意識を移した。
SSの蛇足つぶやき
プィルは多分、最初は普通に人間の男性とプリムラを結婚させるつもりだったんじゃなかろうか、とか思ってます。
「彼女には、平凡な娘としての人生を送ってほしい」、と考えてそう。
自分はプリムラの後見人というか、お兄ちゃん的な意識があったんじゃないかなあ。
ただ、神の重力により、地上だと、妖精同士ではすでに世継ぎを残すのが困難になっていたのではないかな、と。(大戦前から子供が産まれなくなってますし)
「妖精王と結婚する人間(異種族)の女性」で、「妖精族」が心情的に納得できる存在、っていうのは、多分「アロウンの忘れ形見」であるプリムラしかいないですよね。
SSを書いた時点では、プリムラもプィルもそのことに気づいていなくて、オガムのみが分かっている、という感じです。
(もしかしたらアロウンも、そこまで考えていて、プリムラに「プィルを頼む」と言い残したのかもしれないなあと思ったり)
その後オガムに言われるか、自分でアロウンの遺言の意味を考えるかしてプリムラがそのことに気づく。
で、親友の忘れ形見で妹のような存在を、「自分の妻にすることで、政治のゴタゴタに巻き込んでしまう」、と葛藤しているプィルに、プリムラの方から手を伸ばして、夫婦になった、というような気がします。
同士愛というか、信頼で結ばれてる、兄妹のような夫婦だった、というイメージです。
そこまで書こうとして挫折したの!!
まあ、外伝で過去編の続きが出てきて、「普通に恋愛して夫婦になりました」、だったらそれはそれで全くOKですが!!


