翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)
妹尾 ゆふ子
3日くらいかけてゆっくり読みました。
下の記事でヤエト(表紙にいる男性)からヘタレの匂いを嗅ぎ取った、と書きましたが、どっこい。
ものすごく虚弱で、ズボラー志願隠居志願なんだけど、真面目すぎるがゆえにあちこちに振り回される36歳でした。
……さんじゅう、ろく?
「年齢を感じさせない」だの、「年より10年は若く見られる」だの、確かに童顔が強調されてはいますが、それにしたってあの挿絵で三十六…?
特に人物紹介絵。下手したら10代後半ですよ…。いやかっこいいけど。
大変ツボな美人ですけど。
表紙の気弱そうな表情はどっちかっていうと虚弱ゆえの表情だったようです。
振り回されてはいるけど言うことは言うし、心の中では悪態をしっかりついているし、暴走気味の相手にはびしっと釘をさしてるし、ヘタレとはちょっと違う感じ。
比較的オトコマエでした。芯がしっかりしているというか。
ヤエトの半分しか生きていない皇女がその百倍くらい漢前でしたけど!!
短くまとめると、北の僻地に左遷された主人公が、これで隠居できるぜ!と思いながら、田舎者達の仲裁に四苦八苦していたら、都から太守として14歳の超じゃじゃ馬なお姫様がやってきてさあ大変、という話。
高貴な絶世の未亡人がやってきても、未亡人のオーラが強すぎて「気持ち悪い倒れそう」となっている主人公のどこに恋愛成分を期待しろというのか。(本人には悪いけど、少し笑いました)
風景とか、鳥とか、世界観の描写が独特。
姫様がやってきたぜさあ大変な描写にまぎれて、過去の全く見えない北領や、そこに住む民の秘密など、もっと大きなものが背後で動いている気配が感じられます。
そんで、ヤエトと親しく?なろうとする皇女のあれやこれやが可愛いです。
言動がやや幼いです(実際太守としては幼いのですが)が、腹に何も抱えていないし、わがままであっても民のことを考えていないタイプのワガママ姫ではないので、見ていて爽快です。
なんのかんので本人のカリスマで民の信頼を得ていますし。
そして激しく男前。なんか将来たくさんの民や臣下を跪かせそうな勢いとカリスマを感じます。というか私がひざまづきた(黙れ)
作者さんの公式サイトで、(多分)下巻の表紙が見られます。上巻でヤエトにからみついている鎖を、皇女が断ち切っているようにも見えますが、さて。
一番印象に残った台詞
「そなたは、わたしを信じておらぬ。それでも、わたしはそなたを裏切らぬ。少なくともこのことでだけは、絶対に」
――(上巻202ページ・皇女の台詞)
なんたる漢前。
どっちかってと忠義で燃え上がれるぞこれは。
下巻では、感覚が70歳くらいの枯れ方をしている36歳に忠義を誓わせちゃうような、やる気を復活させちゃうような皇女の活躍に期待。
がっつり味わえるファンタジーを読みたい方にオススメ。
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